定価:18,900円 (本体18,000円+税5%) |
[偽]ジョン・ディーの 『金星の小冊子』 ---テクストの校訂と翻訳,そしてこのテクストの注釈のために必要なキリスト教カバラおよび後期アテナイ学派の新プラトン主義の研究 ISBN4-89798-635-4 |
エリザベス一世の宮廷占星術師として、また当時のヨーロッパの第一級の数学者として、そして秘教的学問に精通した魔術師として知られるジョン・ディー(1527-1608)
の手によるものとされている偽書『金星の小冊子』 あるいは『金星の喇叭(らっぱ)』のテクストの校訂と翻訳、そして注釈を根本的な主題に据えながらも、同時に、この小冊子の教理的背景となっているキリスト教カバラの宇宙論の明確な体系化を試みた意欲作。 本書は、ユング心理学などの概念を説明のための補助的な概念として用いながら、すべての派生的で不確かな観念を精緻なプロクロス哲学の単一神教的な図式の中に再編し直し、それによって『金星の小冊子』をはじめとする召還魔術を構成する典礼様式や象徴を宇宙論的意味に還元しながら解釈を施している。 〔参考:中世の後半期から近世初頭のヨーロッパに登場してくる魔術に関する広範な文書群の中で、我々が魔術書と呼んでいるものは、その取り扱っている内容や用途や書式の形態などによって、いくつかの基本的な類型に分類することが可能なように思われる。つまり、本書で論じられる「魔術書」は、決して15世紀初頭から17世紀にかけて、教会および世俗の異端審問官の需用に応じて体系化されていったスコラ的な悪魔学の著作群のことを指すのではなく、本来黒ミサの悪魔礼拝などとは全く無縁の、ヘレニズム後期に基礎の出来上がった宗教的オカルティズムを扱った文書群を指している。〕 →ジョン・ディーについて |
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森 正樹 [著] |
A4変型判 函入り上製 692頁 初版発行: 2004-05-05 |