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はしがき(一部抜粋)
英語教師として半世紀を送った。埼玉県立浦和高校と東京教育大学附属高校における計10年の”現場教師”の経験の他は、現在勤務している大妻女子大学で「英語科教育法」を中心に教えるかたわら、財団法人語学教育研究所の所長を勤め、中学・高校の検定教科書の執筆者として英語教育に携わってきた。筆者が勧める英語教授法については、全国各地の講演や、研究授業でで訴えてきた。大修館書店発行の『英語教育』や、現在休刊中の『現代英語教育』にも多くの記事を書いてきた。中教出版発行の『英語授業182場面集』『英語教師Do's
& Dont's』と、開拓社発行の『英語教師心得のすべて』においても、意見は発表してきた。だが、現在勤務中の大妻女子大学も今年度いっぱいで定年となる。”現役”最後の著作として出したいと願った著作が本書である。
いわば半世紀を英語教育一筋に過ごした者の”遺言書”のつもりで執筆した。
英語の授業は、英語を使ったオーラルの授業が根底にあるべきであると筆者は固く信じている。中学の授業はもちろん、読みを中心とした高校の「リーディング」の授業においても、まず英文を読むための予備知識を与えるOral
Introduction から始まって、よく言えるようになってから、書き始めるべきだと考えている。言えない英語を書けるはずがないからである。
しかし、Harold E. Palmer が懇切丁寧な指導法と教材まで提示してから80年以上が経とうとしているのに、日本の英語授業は1世紀前と似たりよったりの
”文法訳読式”の授業が大半を占めている。しかも、その「文法」は難解な文法用語を使った”講義”に終始している。筆者は大妻女子大学の英語科教育法
の授業の最初に、毎年「英文法設問集」という自家製のパンフレットを配布し、各文法項目を、どのような例文を使ってどのように教えるかを考えさせてきた。
本書は、いわば、その「解答集」である。これを通じて、英語教師たる者に必要な文法知識を総ざらいしてもらい、さらに、生徒に教える際には、どのような例文を使って、どのような導入法が考えられるかを提示したつもりである。従って、一番の対象者は、英語教師希望の学生だが、中学・高校の英語教師にも一読してもらえるよう、英文法を教える際の留意点を挙げたつもりである。また、「コミュニケーションを図る言語活動」
を目標としている英語の授業において、学習活動としての文法をどのように扱うかについても、第20章で述べた。さらに、文字をきちんと読めるようにするためのフォニックスの指導についての提案を最後の章で付け加えた−。
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