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訳者あとがき
本書はWerner Ross: Lou Andreas-Salome---Weggefahrtin
von Nietzche,Rilke,Freud--1.Auflage Berlin: Siedler,1992(Corso bei
Siedler)の全訳である。この稀有にして非凡なルー・ザロメ(1861-1937)に関してはすでに日本に紹介されリリアーナ・カヴァーニ監督の映画
『善悪の彼岸』 などにも取り上げられているが、しかしニーチェやリルケ、フロイトは一般読者にもよく知られているにもかかわらず、ルー・ザロメの名はややもすれば彼ら巨星の陰に隠れてしまい馴染みうすいかと思われる。このような状況を払拭したくもあり敢えてここに訳出することを試みた。それというのも著者は長らくニーチェ研究に専心され、その必然的な産物でもある『ルー・アンドレアス−ザロメ』をも著された。このような経緯の中で著者の意向もありこの作品を彼の紹介かたがた取り上げた次第である。訳者にとってもニーチェを惑乱させたルーとはどんな魅惑的な女性かと長いこと心の片隅にあり、あの有名な1882年にチューリッヒでハインリッヒ・ヴィルトが撮影したすらりとした痩身の彼女の写真は強烈に刻印されていた---
(以下省略) | |
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