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                     はじめに



 
最近話題になっている「ゆとり教育」は、確かに非常な問題を含んでいるように思う。
 
 しかし文部省は世の懸念をよそに、ほころびを繕いながら、結局はこれを強行してしまった。これはこの国の未来に大きな矛盾を生み出し、ぬぐうことのできない苦しみを与え続けていくことになるだろう。
 
  こうした文部省の独善的な姿勢は、今に始まったわけではない。太平洋戦争敗戦から半世紀、この間の文部省の政策は失敗に満ちており、どれだけこの国の活力を削いできたであろうか。そして今回の誤りの政策「ゆとり教育」である。今の時代に、一つの省庁が独善的な政策を振り回し続けるような行き方が、許されてよいものであろうか。
 
  この著作の大きな柱は、現今の教育の頽廃を「構造問題として読み解く」ところにある。そして教育現場や地域、それぞれの親やこどもたちが、教育の動乱期を乗り切っていけるだけの見識を持つための一助となれることを期した。
 
 内容は過去に記述した評論の編集で、このためいくらかの重複があると思う。また書き始めたときに文部省であったものが、途中から文部科学省に変わってしまった。これには当惑したものの、結局文部省で通させていただくことにした。いずれもお許しをお願いしたいことである。
 
  記述にあたっては、多くの優れた知見に助けていただいた。勝手ながらこの場を借りて厚くお礼を申し上げたい。


  2002年6月20日


                       市川にて   
    江沢 穂鳥
 
                     
 


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